

小森 邦彦 Komori Kunihiko
マリンバ Marimba
西洋クラシック音楽の伝統においてマリンバを位置づけ、純マリンバ作品にこだわり欧州、北米、アジアで演奏活動を展開。これまでドイツ・ヴィッテン音楽祭、ダルムシュタット音楽祭、ニューヨーク・キメルセンター、リスボン・ベレム芸術文化センター、スペイン・サラマルテュソス、香港全湾タウンホール、マカオ芸術博物館、兵庫県立芸術文化センター、大阪シンフォニーホール、武生国際音楽祭、東京・春・音楽祭等に招かれ、その繊細緻密なパフォーマンスによりマリンバ音楽の先駆者の一人として国際的に注目されている。
ドイツ国営ラジオ放送局による独ケルンでのコンサート全編放送、アメリカのバージニア州フェアファックスで行われたソロコンサートのテレビ中継、アメリカ・ダラスにてPASIC(全米打楽器協会国際コンベンション)に招かれ世界を代表するマリンビストの1人として出演、サントリーホールに於いて武満徹作曲マリンバ協奏曲“ジティマルヤ”を下野竜也指揮読売日本交響楽団定期公演にソリストとして出演、ペドロ・カルネイロとのデュオコンサートシリーズ、元バイエルン放送響首席フルーティストのブノワ・フロマンジェとのデュオ、NECガラコンサートへの選出、(財)東京オペラシティ文化財団によるリサイタルシリーズ“B→C(バッハからコンテンポラリー)”でマリンビストとしての初参加など、常に話題を集めた活動を継続している。
これまでに生まれたマリンバ音楽の継承と共に、委嘱や初演を通じて新たなマリンバ音楽の更新にも力を注いでおり、細川俊夫、野平一郎、権代敦彦、志田笙子、伊藤弘之、向井耕平、アレハンドロ・ヴィニャオ、ピーター・クラッツォゥ、ジェームス・ウッド、マーティン・ブレズニック、ジョン・セリーなど、国際的に優れた作曲家による作品の誕生に名を残している。中でも、委嘱を続けているアレハンドロ・ヴィニャオに依頼したマリンバデュオ作品”Book of Grooves”は、ポルトガル出身奏者のペドロ・カルネイロと共に世界中のマリンバ奏者に呼びかけて共同委嘱を束ね、世界各国で僅かな期間による圧倒的な浸透を導いた。また、ニューヨークの作曲家グループ”First Performance”主催による小森邦彦への献呈作品企画公演やピーター・クラッツォゥを南アフリカ出身の西洋クラシック作曲家として日本で初めて招聘して行ったクラッツォウによるマリンバのための室内楽コンサートの主催など、自らの公演を通じた新作マリンバ音楽の普及を継続して行っている。
2019年5月にリリースしたCD最新作”Masters, Masterworks”では、作品の誕生から40年近く録音が見送られてきたジョン・セリーによる難曲“ナイトラプソディ”や名作ジェイコブ・ドラックマン作曲“水の反映”等、現在国際的に名作(Masterworks)となった数々を小森が作品の誕生にゆかりある人物との体験から研ぎ澄ました演奏を収めている。デビューCD ”Marimbist.”では細川俊夫に委嘱した「想起」、向井耕平に委嘱した「前奏曲とアレグロ」、世界初演録音になるユージーン・オブライアンによる超絶技巧作品「ライム アンド リーズン」など、国際的に活躍している作曲家によるマリンバのための大作を収録。またマーティン・ブレズニック作品集CD「My Twentieth Century」では、ロバート・ヴァンサイスとともにソリストをつとめたマリンバ・ダブルコンチェルト「グレイス」の日本初演ライブ録音が収められている。また、異分野アーティストとのコラボレーションも積極的に行っており、これまでコンテンポラリーダンサーのサルヴァ・サンチス、能楽師・山井綱雄氏、美術家・小阪淳氏等とパフォーマンスを行っている。
教育活動も積極的に行っており、これまで米国カーティス音楽院、イーストマン音楽大学、独カールスルーエ音楽大学、ポルトガル・アヴェイロ大学、スペイン・ビルバオ音楽院、中国中央音楽院、国立台南芸術大学、PASIC(全米打楽器協会国際コンベンション)、武生国際音楽祭、福井マリンバセミナー、八ヶ岳マリンバキャンプなど、国内外の教育機関やフェスティバルより招かれレクチャーを行っている。また、愛知県立芸術大学にて後進の指導にあたっている。
クレーン現代音楽コンクール第1位、アメリカ、メリ-ランド州芸術家議会より器楽独奏者賞受賞をはじめ、これまでにも数々の賞を受ける。イーストマン音楽大学にてジョン・ベックに師事、学士課程修了。在学中ジョージ・イーストマン、マーシャル・
シーマンの各奨学金、および同校最高名誉である“演奏家証明書”を与えられる。ジョンズ・ホプキンス大学ピーバディ音楽院にてウイリアム・マーシュ、ロバート・ヴァンサイスに師事、修士課程を経てディプロマ課程修了。